今日、相方から「父が天に召された」とメッセージがきた。

一年前に「あと一年」と余命宣告された義父。

膵臓がん といっていた。

それほど頻繁に、実家に顔を出していたわけではなかった。

相方と父の関係性が悪くはないけど、良好ではないことも一理ある。

去年の新年の挨拶に伺ったときだったと思う。

命が長くないことを、義父本人の口から聞いた。

「私が死んだら、大学病院の検体として使っていただくよう、契約を結んだ」

なんてことをサラッと付け加えて、まるで旅行の計画のように伝えてくれた。

相方はそのことをどう感じたのか、表情ではよくわからなかったが、
義母が隣で神妙な顔をして、その話を聞いていた。

もちろん、2人で話して出した結論だと思う。

もしくは義父が独断で決定してしまった、という可能性もあるが、
夫婦のことは夫婦にしかわからない。

私は義父も義母も大好きである。

それは、適度な距離感で、
こちらから「会いに行く時だけ会う」関係性だからなのかもしれない。

それから一年の間に、義父は自分が死ぬ準備を淡々としていたのだろうか。

去年の12月、義父は体調が急に悪くなり、病院に搬送された。

義父と義母と相方の三人、家族水いらずの楽しい晩餐を過ごした翌朝。

搬送された病院で、膵臓のがんが、他にも転移していることを告げられた義父。

治療を拒んだため、緩和ケア専門の病院で診てもらうことになった。

緩和ケアの病院に転院してから、私は義父に手紙を書いた。

手紙…というより、メッセージカード?

義父と義母と相方の三人が写った写真をコラージュして
「いつもありがとうございます」と書いただけの。

一緒にアロマの小瓶

ラベンダー、フランキンセンス、月桂樹etc…
自分が好きな香りばかりのブレンド

義父からショートメールがきて、
文字がステキだとほめてくれた。

その少しあと、年末ごろに相方から
「親父は1月7日に死ぬらしい」
と義父本人が言っているとメッセージがきた。

「じゃ。6日に会いに行こうかな」

と相方に伝えたら、それを相方から聞いた義父

「そうか!じゃぁ、栄養つけなきゃ」

と言って、それまで点滴などの栄養剤も拒否していたのに、
食事を楽しみにしはじめたらしいと聞いた。

義父から、直接メッセージが送られてくると聞いていたし、
私にも年末と年始にメッセージをくれてたこともあり、
体調、少し良くなられてるのかと安心してた。

私自身、年始は仕事が忙しく、
5日も仕事終わりは夜遅くなったけど、
義父と共有したいと思った本を書店で買ってきた。

永井玲衣さんの「水中の哲学者たち」

オーディオブックで3回聞いて、とても心に沁みた本で、
義父なら面白い感想を聞かせてくれそう、と思った。

6日の早朝、相方からメッセージ。

「父の体調が急変し、今日の面会はできない」

外は雨の音がうるさくて、
ぼんやりと目を覚ましたところだったこともあり、

お父さん宛にメッセージを送ってみる。

「今日は面会できそうにないって聞きましたが、
 お顔を見ることもできませんか?」

返信はない。

「また、体調良くなられたら、顔見に行きますね」

と送って、その日は結局義父のところへはいかなかった。

たまたま本降りだった和歌山から、
雪が積もっているであろう石川への移動が
少し億劫だと感じてしまった。という理由で。

そして、義父は義父の予告どおり、1月7日に死んだ。

約束を守らなかったのは 私。

義父は待ってくれていたかもしれないのに。
(待ってくれてる なんておこがましい!)

寂しい思いをさせてしまったのかもしれない

相手の期待を裏切った

・・・

来なかった私を恨んだりする人ではないこともわかっている。

今となっては「後悔」しかない。

お義父さん

今まで、本当にありがとう

ほめるところなんてない私の
なんてないところをいつもほめてくれて

心から感謝しています

またいつか会えるの楽しみにしてます

お義父さんの畑のアスパラの実

20250108